自分好みのコーヒー豆に出会うには?「焙煎度(ロースト)」で決まる味の正体
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おいしいコーヒーの選び方ってどうすればよいのか?
「どれを選べばいいか分からない……」 コーヒーショップの棚に並ぶたくさんの豆を前に、そう思ったことはありませんか?
実は、コーヒーの「おいしい」は、とても個人的なもの。これまでどんな味に親しんできたかという「経験」によって、味覚の基準は一人ひとり異なります。
店頭でお客様とお話ししていても、「酸味の少ないものを」とお勧めした豆が「少し酸味を感じる」と言われたり、その逆だったりすることも珍しくありません。
「おいしさは人それぞれ」で終わらせてはもったいない。そこで今回は、コーヒーの味を決定づける大きな要素**「焙煎(ロースト)」**の仕組みを紐解きながら、あなたにとっての「運命の一杯」を見つけるヒントをお伝えします。
少し専門的な話になりますので、先に簡単に焙煎を説明すると
浅煎り…華やかな香りと際立った酸。爽やかでフルーティー。
深煎り…苦みとしっかりとしたコク。キャラメルやチョコレートなどの濃厚なイメージ。
中煎り…浅煎りと深煎りの中間で、マイルドで飲みやすい。目の前に酸の後ろ姿が見え、振り向くと苦み。

1. 焙煎は「魔法の化学変化」
コーヒーの生豆は、最初からあの香ばしい味がするわけではありません。熱を加えることで豆の内部で劇的な化学変化が起こり、はじめて「コーヒーの味」が生まれます。
焙煎中に起こっている主な反応は4つです。
1.メイラード反応: 糖とアミノ酸が反応し、香ばしさと甘みを生む
2.カラメル化: 糖が加熱され、心地よい苦味成分に変わる
3.クロロゲン酸の分解: 酸味や苦味、香りの複雑さを生む
4.ショ糖の熱分解: 酸味やコクの要素に変わる
この反応をどこで止めるかによって、フルーツのような酸味になるか、チョコレートのような苦味になるかが決まるのです。
2. 味の分岐点「ハゼ」の音を聞く
焙煎中、豆から「パチパチ」という音が聞こえてきます。これを私たちは「ハゼ」と呼び、味を決める重要なサインとしています。
●1ハゼ(1回目のパチパチ): 豆の水分が蒸気になり、内側からの圧力で豆が割れる音。ここから「コーヒーらしい風味」が本格的に始まります。
●2ハゼ(2回目のピチピチ): さらに熱が進み、豆の細胞構造そのものが壊れる音。水分ではなく、豆の「骨格」が変わる段階です。
ロースターはこの「ハゼ」を通過点として捉え、どのタイミングで釜から出すかを秒単位で見極めています。
1ハゼも2ハゼも、焙煎の終点ではありません。
豆の中で起きている変化が、次の段階に進んだことを知らせる通過点のサインです。
どのハゼの後、どこで止めるか。そこに、ローストの考え方が表れます。
3. 知っておきたい「8段階のロースト」
一般的に、焙煎度は以下の8段階に分かれます。
・ライト
・シナモン
・ミディアム
・ハイ
・シティ
・フルシティ
・フレンチ
・イタリアン
【浅煎り】ライト〜シナモン
●特徴: 1ハゼ直後。フレッシュジュースのような爽やかな酸味と華やかな香りが際立ちます。
【中煎り】ミディアム〜ハイ ※当店の「浅煎り」
●特徴: 1ハゼの終わりをしっかり使った状態。酸味が丸くなり、少しずつ甘みと厚みが出てきます。マイルドで飲みやすい、当店の得意なゾーンです。
【中深煎り】シティ〜フルシティ ※当店の「中浅煎り」
●特徴: 2ハゼが始まりかける頃。酸味が抑えられ、コクと余韻が長く続くようになります。
【深煎り】フレンチ〜イタリアン ※当店の「深煎り」
●特徴: 2ハゼ以降。酸味は消え、どっしりとした苦味と濃厚な厚みが主役になります。一杯の満足感が非常に高いローストです。
4. あなたが「酸っぱい」「苦い」と感じる本当の理由
お客様から「酸っぱいのは苦手」という声をよく伺います。
実は、日本で馴染みのあるコンビニや大手チェーンのコーヒーの多くは、**「フルシティ〜フレンチ(中深煎り〜深煎り)」**寄りです。この「苦くてコクのある味」に慣れている方にとって、最近流行の「浅煎り」は、コーヒーというより「酸っぱい飲み物」に感じられてしまうのは当然のことなのです。
逆に、浅煎り派の方からすれば、深煎りは「苦すぎる」と感じるでしょう。
まずは自分の「いつもの味」がどのあたりかを知ること。そして、そこから少しずつ違うローストを試してみるのが、失敗しない選び方のコツです。
5. 最後に
ローストはあくまで目安です。お店によって基準も違えば、今は5段階で表現するロースターも増えています。
もちろん、産地や品種、精製方法によっても風味は変わりますが、まずは**「自分はどのくらいのロースト(色や苦味の強さ)が好きなのか」**を軸に選んでみてください。
大磯の当ロースターでも、お客様の「おいしい」を一緒に探すお手伝いをしています。迷ったときは、ぜひお気軽にご相談くださいね。